ペアローンを組む前に — 配偶者の収入は「半分」で見積もる

「お二人なら、〇〇万円まで届きますよ」——住宅ローンの相談でこう言われ、思わず気持ちが前のめりになった方も多いのではないでしょうか。夫婦それぞれが借りる「ペアローン」の話です。
3組に1組以上が「夫婦で組む」時代
リクルートの調査(首都圏の新築マンション購入者・2025年契約者/2026年3月公表)によると、住宅ローンの契約形態のうちペアローンは36%。世帯年収1,000万円以上の共働き世帯に限れば74%にのぼります。同じ調査では平均購入価格が7,324万円まで上がっており、一人の収入では届かなくなった——これが背景です。
ただ、この36%は前年からほぼ横ばい。ずっと増え続けてきた数字が、ここにきて伸び止まっています。借りられる上限まで借りることへのためらいが、少しずつ出てきているのかもしれません。
決め手は「借りられる額」ではなく「返済できる額」
銀行が「○○万円まで」と言うとき、それはいまの二人の年収が、この先ずっと続く前提ではじいた上限です。育休や時短、転職で収入が下がる可能性も、これからかかる教育費も、その計算には入っていません。
そこで私がおすすめしているのが、配偶者の収入を、多くても「半分」で見積もって予算を組む方法です。時短勤務になれば年収はおおむね2〜3割下がり、パート勤務に変われば半分以下になることもあります。「二人ともずっとフルタイムで働き続ける」という前提は、思っているほど当たり前ではありません。
たとえばご主人500万円・奥さま200万円で世帯年収700万円のご家庭なら、奥さまを100万円と見て、世帯600万円で予算を立てる。こうしておけば、収入が下がる数年間も、家計はきちんと回ります。
「もしも」のとき、ローンは二人分残ります
見落とされがちなのが団信(団体信用生命保険)です。ペアローンは二人がそれぞれ借りる形なので、万一のとき消えるのは亡くなった方の分だけ。残された側の返済はそのまま残ります。近年は二人分がまとめてゼロになる「夫婦連生団信」もありますが、その分、金利は上乗せになります。
離婚の場合も同じです。二人がそれぞれ債務を負っているため、別れても返済の関係は終わりません。売却しても残債が残れば、自己資金で差額を埋めない限り抵当権は外せず、売ること自体ができません。 どちらかが住み続ける場合も、もう一方のローンと名義をどう扱うかで話がまとまらないケースをよく見ます。
まとめ
ペアローンは、使い方さえ間違えなければ共働きの心強い味方です。大切なのは「いくらまで借りられるか」ではなく、「どんな時期が来ても二人で笑って暮らせる額はいくらか」。その額を、どちらかが我慢して飲み込むのではなく、二人で並んで決めること。そこさえ守れれば、ペアローンは怖くありません。
📌 キーワード: ペアローン、住宅ローン、共働き、団体信用生命保険、借入可能額